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Feb

6

2023

東京都文京の大学病院で肝機能障害のある方にご協力頂く治験の参加者募集が開始されました。
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 私たちの体の中に入った薬物は、体内で吸収→分布→代謝→排泄という過程を経て時間とともに体の中から消えていきます(この一連の流れを「薬物動態」といいます)

 薬物は、肝臓のシトクロムP450(CYP450)という酵素で体内の薬物の構造を変化させて薬の効力を失わせた後、腎臓に送り込まれ尿として排泄させます。そのことからも肝機能障害がある方とない方では体内での吸収→分布→代謝→排泄のされ方や、それにかかる時間が異なる可能性があることがわかります。

 

 一般的に、治験の第一段(第Ⅰ相試験)では、「治験薬が治療の目的としている疾患」がある患者さんではなく、健康な若い男性に協力していただき、薬物動態を確認します。治験の第二段階(第Ⅱ相試験)以降では、治験薬が治療の目的としている疾患がある患者さんにご協力いただきながら進めるのですが、その場合は「治験薬が治療の目的としている疾患」がある事以外は健康な患者であることが求められてきました。つまり肝臓障害がある方は「治験薬が治療の目的としている疾患」があっても治験にはご協力いただけなかったのです。

 しかし、治験薬が、ある疾患の治療薬として承認され、日本中で多くの患者さんが使用するようになると、治験のように細かく管理された状況ではない中で、様々な年齢の方、様々な疾患を併発している方が使用するようになります。「肝機能障害」がある方も使用します。前出の通り肝臓は「薬物動態」に重要に関わってくる臓器ですから、ここに障害があった場合、治験で得られたデータから設定された用法、用量では効果がでない場合もありますし、反対に効き目が強すぎて思わぬ副作用が現れる場合も考えられます。そのことから「肝機能障害」がある方にご協力をいただきながらまだ「治験薬」の段階のうちに、「治験薬」がどのような影響を与えるのか、あるいは影響がないのかなどを、「治験」という細かい決め事のもとに、治験実施医療機関で安全性を十分に確保しながら慎重に確認をするという事が米国をはじめとした諸外国でもスタンダードになり、日本でも厚生労働省の指導のもと進められることになってきたのです。

 

 ご自身の肝機能障害に関連する治験ではありませんのでご協力いただいた場合にも治療に繋がるメリットはないのですが、ご参加いただいた事で得られるデータはたいへん貴重なものであり、新しい薬の誕生に関わる大きな貢献をしていただくことになります。ご検討をいただける事をお願い申し上げます。

治験参加にあたって費用の負担はございません。規定の負担軽減費が支払われます。

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