2024年9月30日発行
乳歯から取った歯髄幹細胞(SHED)を薬にするための研究
「海外の病気のお友だちにも治療薬を届けたい」
Chivo Netのお友だちの乳歯から作った乳歯歯髄幹細胞(SHED)を
世界中のお友だちの病気の治療に使えるようにする為には世界の基準に合わせる事が必要です
日本での製造
日本では、再生医療等製品を製造するにあたっては、厚生労働省が決めている「GCTP省令(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)」に適合していることや「GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準 に関する省令)」に適合している必要があります。
アメリカでの製造
アメリカで再生医療等製品を製造するにあたっては、日本の基準ではなくFDA(アメリカ食品医薬品局)が決めている基準を守る事が必要です。
海外のお友だちの為に
このことから、海外のお友だちに活用してもらえるようにする為にChivo Netのお友だちは、日本国内だけで活用する乳歯の抜歯時より多くの血液を検査の為に提供してくれました。この採血量は、小児科の医師の意見を伺い、抜歯を行った東大倫理委員会の審査を経て適切であるむね承認を受けている採血量です。
主な日本とアメリカの基準の違い
- 日本の基準にないウイルス検査があります。
- アメリカのドナーの適格性を満たすため、生活経験についての項目があります。
- 血液検査のために採取する血液の量が増えます。
日米両国の基準を満たすドナーからの乳歯で「薬のもと」を作ります
日本とアメリカで使用できる「薬のもと」となるマスターセルバンクが完成し、海外の病気のお友だちに薬を届ける大切な一歩となりました。
アメリカ基準に合わせた問診
その他にも、日本国内では確認する項目になっていない病気のウイルス検査や生活経験についての項目など、アメリカ基準に合わせた問診にも対応していただきました。
マスターセルバンク完成
その結果、日本国内でもアメリカでも使用できるSHEDのマスターセル バンク(SHEDを再生医療等製品として製品化するための「薬のもと」)を完成させることができました。このマスターセルバンクのおかげで、今後は日本だけではなく海外に向けて世界初のSHEDによる再生医療等製品の実用化を目指して研究開発活動を進める事ができるようになりました。
協力してくださったChivo Netのお友だちには深く感謝申し上げます
研究担当者コメント
ドナーが小児ですので、採血量が増えたことについては懸念する声があり、もっとも時間をかけ慎重に検討を重ねました。
試験法について、ドナーの負担が少なくなるよう必要最小限とする相談を検査会社とおこなったり、採血について専門家に聞きに行くなどして東大倫理委員会から承認をいただきました。
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