2024年4月2日発行
乳歯から取った歯髄幹細胞(SHED)を薬にするための研究
「どんな病気を治療する研究に使われているの?」
乳歯から取った⻭髄幹細胞(SHED)
「脳性まひ」という、今はまだ症状を改善する有効な治療法がない病気にかかっているお友だちの乳歯から取った⻭髄幹細胞(SHED)による細胞治療の研究が行われています。
SHEDによる細胞治療の研究
これは名古屋の大学病院で⾏われている「臨床研究」の事で、SHEDによる脳性まひ治療に対する世界で初めての取り組みとして、SHEDが脳性まひの症状を改善することが期待されています。
今度は「治験」という段階へ
この研究が進んで、安全性や有効性が確認できた場合は、今度は「治験」という段階へ進み、得られたデータが「安全で有効な治療法」だと認められると、多くの患者さんがいろんな病院で、この治療を受けられるようになります。
主役は「乳歯」
SHEDの細胞治療としての可能性を探る主役は「乳⻭」です。SHEDの研究者達は、ChiVo Netの⼩学⽣の皆さんが提供してくれた乳⻭を使って、病気のお友だちに新しい薬を届けるための研究に毎⽇取り組んでいます。
日本の子どもたちの乳歯が、
世界中の子どもたちの元気を支えられたら素敵なことですね!
おうちの方へ
名古屋大学医学部附属病院で「脳性麻痺児に対する自己乳歯歯髄幹細胞単回投与の安全性、忍容性を検討する臨床試験」が開始されました。6 歳~1 1 歳の脳性まひのお子様にご協力いただきながら行う臨床研究です。
昨年、この臨床研究に参加いただく患児が登録されました。乳歯から取ったSHEDを患児へ投与する例はこれが世界でも初めてとなります。
ChiVo Netのお⼦様たちにボランティアでいただいた乳⻭は、この脳性まひを含めた様々な疾患に対するSHEDの研究に大切に使わせていただいています。 SHEDを活用した治療薬を一人でも多くの患者さんにお届けできるよう研究に励んでいます。
これまで、乳歯をご提供くださったお子様と、医療機関まで同行して抜歯 を不安に感じるお子様を励ましながら立ち会ってくださった親御様に心より感謝いたします。今後も機会がありましたら、また、ご都合が合う場合にはぜひご協力をお願い申し上げます。これからもChiVo Netへのご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
- 「脳性麻痺児に対する自己乳歯歯髄幹細胞単回投与の安全性、忍容性を検討する臨床試験」の詳細は厚生労働省の臨床研究データベース「jRCT(Japan Registry of Clinical Trials)」臨床研究等提出・公開システムでご確認いただけます。 https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTb040230042
- 乳歯歯髄幹細胞 (SHED : Stem cells from Human Exfoliated Deciduous teeth):乳歯の歯髄組織から採取される神経堤由来の幹細胞。
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